「誰かのために祈る」ことができなくなったので寄付を始めた

いきなりですけど私、無神論者なんです。

海外だと無神論者は肩身の狭い思いをすることもあるようですが、日本人の場合は「意識的に神を信じているわけではない」人がむしろ大半なので、わざわざ「無神論者」を自称する意味もわからないでしょう。

私の場合、宗教への違和感から家族や信者と対立し続けている状況にあるため、「自分は無神論者である」ということを人より強く意識しているところがあります。

 

そんなわけで私はずっと、神を信じることなく、墓参りにも何年も行かない生活を送ってきました。

しかし、最近になって少し困ったことがありました。

 

「誰かのために祈る」ことができない自分

たとえば誰かが自然災害による被害にあった時、たとえば誰かの身内に不幸があった時、「○○をお祈りします」「ありがとうございます」、そんなやり取りが当たり前に交わされます。

しかし、私には「誰かのために祈る」ことも「他人の祈りに感謝する」こともできないのです。

常に宗教が近くにあり、自分が無神論者であると意識して生きてきた私には、「祈り」と「宗教」の繋がりを意識してしまい、受け入れられなくなっています。

  

宗教的なものを嗅ぎ分け、拒絶することは宗教と対立してきた私の半生にとっては必要なことでした。

しかし、今では私の周囲に信仰を押し付ける人はいません。

今私の周囲にいる人は「誰かのために祈る」ことを当たり前に行いますが、特定の宗教を信仰しているわけではありません。

彼らは信仰を意識することなく誰かのために祈っているのであり、無神論者であるという理由で祈れない私は「おかしな人」「冷たい人」と思われるかもしれません。

 

誰かが死んだ時、人は「ご冥福をお祈りします」とか「きっと天国から見守ってくれてるよ」などと慰めの言葉をかけ、言われた側もなんとなく気持ちが楽になったりするのでしょう。

でも私には、その場で掛けるふさわしい言葉がありません。

人間機械論の話をするほど空気の読めない人間でもありませんし、ただただ気まずい思いをすることしかできないのです。

 

毎月少額の寄付をすることにした

 人から冷たい人間だと思われること自体は大きな問題ではありません。

問題なのは、自分で自分のことを冷酷な人間なのかもしれないと思ってしまうことです。

それでは私には「人のために祈る」代わりに何ができるでしょうか。

 

私は祈るというツールには抵抗がありますが、お金というツールの力なら信じています。

しょぼい宗教施設を経営している父にも、「この宗教団体はお金の流れが不透明だし、この施設に所属してる信者は羽振りが悪い。あなたがコンビニでバイトでもして、稼いだ金を募金でもした方が宗教活動なんかより人助けになるんじゃないか」と何度も言った覚えがあります。

どうやら昔の自分の言葉が今の自分に返ってきたようです。

 

いきなり数万円をポンと寄付するような覚悟はありませんが、月に1,000円くらいなら無理なくやれそうです。

 

寄付先の選定

 寄付するとなったら、まずはどこに寄付するのかを考えないといけません。

少し調べてみたところ、認定NPOなどへの寄付は寄附金控除の対象になるらしいので、寄附金控除の対象になり、知名度もあるところをいくつか候補に上げました。

 

  1. 日本赤十字社
  2. 国境なき医師団
  3. 日本ユニセフ協会
  4. 国連UNHCR協会
  5. 国連WFP協会

 

それぞれが意義のある活動をしている団体だと思いますが、一番に飢餓がなくなってほしいという気持ちから国連WFPに寄付をすることにしました。

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」なんて言葉がありますが、飢えに苦しんでいる人が長期のことを考えて釣り方を学ぶより、まずは魚を欲しがるのは合理的な判断そのものですからね。

格言に格言で返すなら、「長期的には、 われわれはみんな死んでいる」です。

 

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 寄付は毎月自動的に支払われて、年明けてから前年分の領収書が届くので確定申告すれば寄付控除を受けられるそうです。

 確定申告しないといけないのは少し面倒ですが、寄付自体は自動化できて楽だし、ちょっと自分を認めてあげられる感じがして、なかなかいい出費をした気がします。

 

 

寄付受付団体の中抜き批判について考える

寄付の話題になると「○○(NPO団体名)は寄付を中抜きしている!」と騒ぐ人を見かけます。

実際、今回私が寄付することにした国連WFP協会も寄付金の内の25%程度は広報活動等の活動費に使用されます。

 

そもそも今回私が国連WFP協会に寄付することにしたのだって、公式Webサイトの文章を読んだからだし、寄付の手続きができたのは寄付受付ページがあったからです。

それらを運営するにはお金が必要なわけで、寄付が全額送金されないことを批判するのは薄っぺらいと私は感じます。

しかし、「恵まれない人たちのことを思って寄付をしたのに、それ以外の用途に使われるなんて気に食わない」という気持ちは理解できないわけではありません。

ですが、お金はただのツールですから、もう少しドライに考えましょう。

 

先程も少し触れたように、認定NPO等への寄付には寄附金控除があります。

年間の寄付額から2,000円を除いた額の4割が確定申告すれば戻ってくるそうです。

毎月1,000円寄付する私の場合、年間では12,000円になるので、戻ってくる額は以下のようになります。

(12,000-2,000)*0.4=4,000円

 

つまり、実質的な負担は8,000円(12,000円-4,000円)で、12,000円の寄付ができるということです。

国連WFP協会は寄付金の75%をWFP本部に送金していますから、本部に送金されるのは9,000円(12,000円*0.75)ですね。

実質的な負担額よりWFP本部に送金される金額の方が大きいわけです。

 

特に批判の対象にされることが多い日本ユニセフ協会は寄付の80%を本部に送金しているので、上の例よりさらに実質負担あたりの送金額は大きくなります。

寄付額をユニセフ本部に全額送金すると宣言している某氏の個人口座に送金した場合、寄附金控除は受けられないので8,000円の負担で本部に届くのは8,000円でしかありません。

 

どうせ寄付するなら、こういった団体に寄付する方が合理的だと思うのですが、いかがでしょうか。